オーストラリア看護留学

オーストラリアで看護師を目指す

正看護師( Registered Nurse - RN )の資格は、大学の看護師登録を目的とした特定の教養・訓練コースの3年フルタイムの課程を修了した者が取得できます。正看護師に準ずる准看護師 (Enrolled Nurse - EN ※)の資格は、TAFE・専門学校の特定のコースで取得できます。 これは日本の看護学部の4年生大学を卒業すると正看護士の資格が授与され、専門学校卒業だと准看護師の資格が授与される仕組みと同じになります。

この正看護師の資格を取得する大学課程は、看護学士課程( Bachelor in Nursing)で通常3年間フルタイムで修了可能になります。課程は一般の大学生と同様理論を学ぶことは勿論、病院、コミュニティーセンター、老人介護施設、精神病院、地域看護等で臨床実習を行ことになります。コース修了後、その教育機関の置かれている州で看護登録を行った後、一般の病院が実施している、一年間の新卒者プログラムに参加します。

日本の看護師が看護学学士号・修士号取得を目指す−コンバージョンプログラム

日本の看護師はオーストラリアではディプロマ取得レベルとして扱われることになります。オーストラリアでは過去にディプロマを取得した看護師は 6ヶ月又は一年間就学して、看護学士号にグレードアップすることができるコンバージョン・プログラムを提供しています。

そのため、日本の看護師の多くはこのコンバージョンプログラムを通して学士号を取得することになります。

通常日本で看護士とした就労経験がある方は、このプログラムによりオーストラリアで看護士の学士号を取得することができます。その後大学院レベルで、看護学の様々な分野から特定の分野のコースワークや研究過程に進学することができます。

また日本では看護学校を卒業すると同時に免許が発行される一方、オーストラリアでは毎年看護登録を更新しなければならないという両国間の違いがあります。

日本の看護師がオーストラリアで看護師登録を目指す

西オーストラリア、南オーストラリア及びビクトリア州では 6ヶ月就学で看護登録が可能なコースがあるが、このコースを修了しても学士号を取得することはできません。

このコースに入学するには各州の看護委員会に申請しなければならず、それには日本の看護学校の詳細を記載する英語書類と英語能力を証明する書類が必要となります。極めて高い英語能力を必要とし、少なくとも1〜2年間、英語圏で生活して初めてこのようなスコアを取得が可能となります。

各州、各大学別に見るコースの傾向

日本で看護資格を持つ者がどの大学、どのコースで学ぶかを決定する際に、それぞれの州の看護学の特徴を理解することが必要になります。

ニュー・サウス・ウエールズ(NSW)州

看護学を持つ大学には、大規模なシドニー工科大学(UTS)、オーストラリア・カソリック大学(ACU)(シドニーキャンパス)、ウェスタン・シドニー大学(UWS)が挙げられます。シドニー工科大学とオーストラリア・カソリック大学は現地でも極めて評判が高く、特にACUはシドニーの都心北部に位置し、極めて便利なロケーションです。UWSは都心から離れた郊外にあり、公共交通機関は比較的不便である上、郊外4ヶ所に散在している。ACUシドニーでは一年間の学士課程(Bachelor of Nursing)で看護登録の可能なプログラムを開講し、入学英語基準はIELTSの6.5です。この学士課程に先立って看護学のファンデーションスタデイ(6ヶ月)又はAdvanced Diploma of Nursingで1年間就学することも可能で、これらのコースの入学英語基準はIELTS5.5 です。UTSは日本人看護師に適した看護登録の可能な一年間のプログラムは開講しておらず、看護登録を行うためには学士課程で3年間フルタイムの就学が必要となります。

ビクトリア州

この州にある大学の多数に看護学部が置かれ、 RMIT大学、ラ・トローブ大学、オーストラリア・カソリック大学 (ACU)、ビクトリア大学、モナッシュ大学、デーキン大学などが挙げられます。どの大学もビクトリア州の看護登録の可能な1年間のプログラムを開講していますが、看護学で名門と言えばオーストラリア・カソリック大学とラ・トローブ大学の二つになります。これらの大学の違いといえば、ロケーションとランゲージセンターです。RMIT大学、デーキン、ビクトリア大学、モナッシュ大学の看護学部は都心からかなり離れた郊外にあり、ランゲージセンターは看護学部とは別のキャンパスに置かれています。ラ・トローブ大学も市内から多少離れていますが、ランゲージセンターは同じキャンパスにあります。さらに、同大学では6ヶ月で看護登録が可能なコースを開講していますが、入学英語基準はIELTS7.0と極めて高く、しかも州看護委員会から入学許可を得なければなりません。ACUは都心に位置し、メルボルン周辺の大規模な病院から近いのですが、ランゲージセンターは他のどの大学付属のそれと比較しても小規模です。ACUのメルボルンキャンパスの看護学についてはシドニーキャンパスのそれと同様です。

南オーストラリア州

州都アデレードに二つの看護学校が置かれています。南オーストラリア大学はフリンダース大学と比較して都心に近いですが、フリンダース大学には大学付属病院がキャンパス内にあり、看護師はもとよりインターン医師の実習も行っています。フリンダース大学には、一年間のコンバージョンプログラムを開講している他、看護学以外で学士号を保持者を対象とした 2年間のプログラムもあります。南オーストラリア大学では6ヶ月の訓練プログラムを開講していますが、これは看護登録が可能だが学士号は取得できません。いずれの大学の学士課程も英語基準は僅かIELTS6.0程度で入学可能。さらに同州ではIELTS試験受験の必要もなく看護登録を行うことができます。南オーストラリアでの看護登録への道は比較的容易に思われそうですが、実際に看護師として働きはじめてからの英語の苦労を考えると一概にそうとは言えません。フリンダース大学、南オーストラリア大学何れも、ランゲージセンターは充実しており看護学部からのアクセスも良好です。

西オーストラリア州

州内の看護学部を持つ大学はパースに 4校ありますが、コンバージョンコースを開講しているのはエデス・コワン大学とカーティン工科大学のみで、日本の看護師の場合は1年間の就学でオーストラリアの看護師登録ができます。エデス・コワン大学の看護学校では学士課程への入学時に単位免除が得られることもあり、看護登録に導く6ヶ月間コースに短縮することも可能です。英語に自信のない者のオプションとして、2年間の学士課程という進路をとって、現場で働く前に英語の向上にできるだけ長期間費やす方法も賢明でしょう。回り道に感じられるかもしれませんが、この2年間の進路をとった場合は看護登録時に7.0のスコアは必要としないという利点があります。カーティン工科大学では、6ヶ月の就学で看護師登録可能なコースがありますが、その場合の入学基準はIELTSのスコア7.0でさらに西オーストラリア看護委員会の許可を得なければなりません。

クィーンズランド州

クィーンズランドの主要な看護学校といえば、オーストラリア・カソリック・大学 (ACU)、グリフィス大学とクィーンズランド工科大学(QUT)で、何れも高く評価されています。他に小規模な大学に看護学部をもちますが、これらは全て僻地にあります。グリフィス大学のキャンパスは、ブリスベンとゴールドコーストに小規模なキャンパス3ヶ所に分散しています。ACUとQUTは看護学部がブリスベンのキャンパス一ヶ所におかれているので、スタッフとのコミュニケーションや施設の利用にも便利です。いずれの大学も看護師登録も可能で、似通っていながら多少の違いがあります。ACUでは、Advanced Diploma of Nursingを修了してから学士課程に進むオプションが可能で、これは英語力に自信のない人に最適です。QUTでは通常の3年間のプログラムを開講していますが、日本における看護学の学歴によって、1〜2年の単位免除が得られ、看護学以外の分野の大卒者を対象の2年の学士課程も開講しています。QUTのランゲージセンターは同じ看護学部キャンパス内にありますが、ACUの場合、看護学部のあるブリスベンにはランゲージセンターがなく、特に学部課程の前に語学学校に通いたい人にはキャンパスが変わるので多少不便です。グリフィス大学では一年間のコンバージョンプログラムのみを開講しています。付属のランゲージセンターがありますが、小規模で看護学部とは異なったキャンパスにあります。クィーンズランド州看護委員会では、看護登録に対しての英語基準が極めて厳しく、少なくとも2年間看護学部で就学していれば、登録時にIELTS試験の受験の必要はないのですが、1年間の就学の場合はIELTSで7.0を取得しなければなりません。